日本では従来よりコインの状態標記に「未使用」「極美品」「美品」「並品」という極めて曖昧な主観的要素の強い表現が使用されてきた。このことは特に通信販売などでコインを購入した場合など、販売者と購入者の間で、状態基準に差があり、トラブルの原因となることが少なくない。このようなことを避けるため、最近日本でも第三者による科学的な状態判定を基準にすることが、徐々に浸透してきている。これは、アメリカに代表されている世界的なグレーディング機構のPCGSやNGCの基準に従う状態表示をすることにより行われている。コインの展示即売会などの会場で「この未使用品はNGC MS63相当です」といった会話をしばしば耳にするのは、同じ未使用でもどのくらいの状態なのかをより詳細に表したものである。
現在日本の業者の店頭に並ぶコインの多くは、いわゆる「洗浄品」であることにも注意する必要がある。貨幣商組合主催のイベントにおいても、コインクリーナーなどという商品が堂々と販売されているのも非常に問題であり、コインを洗浄するのは「傷のないことを見せる」ためだというような業者もいる。これは日本の業者と収集家が、アメリカやヨーロッパとは異なった独自の文化を生み出してきた結果なので、それ自体は非難するには当たらない。ただし、この種の日本国内の習慣のおかげで、国際的な市場での価値評価において著しい不利をこうむることは強調してもよいだろう。国際的な市場にあっては、「未洗浄」、つまりコインが発行・流通していた当時から今日に至る経年変化(銅貨や銀貨の曇り、黒色化、その他の経年による汚れ)をそのまま評価の対象とするからである。ちなみに「洗浄品」のコインは、NGCやPCGSのグレーディング機構では、かなりのマイナス評価の対象であり、国外のオークションカタログにも、わざわざ「洗浄品cleaned」と特記されることがあるくらいである。
参照元:ウィキペディア「貨幣学」
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日本の貨幣市場においては、かつては穴銭と呼ばれた、江戸時代以前の寛永通宝に代表される銅銭のコレクションが主流を成し、研究家も多く専門的な書籍も多数存在した。その後、明治以降の近代銭に人気は移り、更には、東京オリンピックにおける日本初の記念貨幣の発行により、ブームは頂点に達した。当時は切手収集とならんで、子供たちや若者のごく一般的なコレクション趣味として定着し、菓子メーカーの景品にコインを付けるなどということも行われた。やがて、ブームは下火になり、子供たちや「にわか収集家」といわれるブーム便乗収集家がコレクションから撤退したあとは、本格的な収集家のみが残り、これらの人々はかなり専門的なコレクションを行っていた。
現在では概ねこのような専門的な収集家と、現行のコインを年号別にコレクションしたり、紙幣の変わり番号をコレクションする人々に二分される。また中には希少年号やコインに開けられた穴の位置のずれ、紙幣における印刷ミスなどのエラーコインや紙幣を専門に収集する人もいる。エラーコインや紙幣の収集家は諸外国にも多いが、単なる変わり番号の紙幣の収集においては、日本ほどの人気は無く、マーケットも確立していない。
日本では希少な番号の紙幣を入手しようと、2004年のE券新紙幣発行の際には日本銀行の一部支店において、行員が連番の新紙幣数枚と通常の番号の紙幣を無断で交換する事件もあった。日本における商用を目的とした貨幣商の動向として、日本貨幣商協同組合に代表される組織・団体が、定期的に東京、名古屋、大阪などで展示即売会を開催し、販売、鑑定、買取などを行う他、インターネットを利用した古銭・他通貨のオークションも一般的である。また、収集型金貨や、地金型金貨を専門に扱った企業も存在するなど、日本における貨幣市場も意外に大きい。
参照元:ウィキペディア「貨幣学」
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硬貨など貨幣学的なものを一つの投資媒体として使用する考え方は、ここ数十年でより一般的になった。超希少な米国硬貨がオークションで何千ドルもの値段で落札された事に関心を寄せると、人々の投資熱は継続される。硬貨の価値が最も高騰したことで知られる年代は、1989年前後であった。1987年に起こったブラックマンデーの結果として、希少価値のある米国硬貨が資産の多様化の一手段であると考えられたのである。
特定の時期に発行された稀な日付の米国硬貨は、短期間で2倍、3倍、それ以上と価値が膨れ上がった。「投資適格」硬貨は強迫観念の対象となった。証明済み、及びグレード硬貨の誕生である。その後、硬貨の偽造制止と信頼性を保証する目的で、1986年に「第一世代」の第三者グレード会社としてPCGS(Professional Coin Grading Service)が設立された。今や硬貨は現物の下調べの必要が無くても比較できるように簡易化された既定のグレードを有しており、それがコイン市場をより不安定にしている。面白いことに、コイン市場の絶頂期にはPCGSによるグレードの提出が殺到し、11ヶ月間もの飛行機の往復時間を経験した硬貨もあった。コイン市場の上げ相場はその後すぐに崩壊し、コイン価格はその頂点から急落することとなった。
現在第三者グレード市場において最も大きい部分を占めるのは大きく分けてNGC(Numismatic Guaranty Corporation)とPCGSの二つである。またANACS(American Numismatic Association Certification Service)は第三者コイングレードにおける原型とも言える。二大会社の世評の強みや市場価値を除けばグレード会社で第2の位置にあるとされる。市場において三番目の位置に属する会社層も存在するが、市場の評価によればグレードの信用性はより低いとされる。こうした硬貨の格付けを行う会社は、精通した収集家によって一般的に避けられる傾向にある。
米国のコイン市場は一般的に3つの主要市場に分類される。
・Classic U.S. Coins
・Modern U.S. Coins
・World and Ancient Coins
Classic硬貨とModern硬貨においての正確な区別についての論争が存在し、Classic硬貨を1792年から1964年に鋳造されたものとして定義する人々もいる。時が経つにつれ、「Modern」を構成するものの認識は間違いなく変化するはずである。
紙幣・小切手・手形類の収集は、コイン収集ほど一般化されてはいないが、同様の収集における重要な分野である。現在これらはNGCの姉妹会社で、PCGSの紙幣類の証明とグレードを行う部門である、PMG(Paper Money Guaranty)を通して複数の主要第三者グレード会社への導入が目下進められている。こうした動きは市場調整として手形、紙幣の価格決定と収集価値に大改革をもたらすと考えられている。
参照元:ウィキペディア「貨幣学」
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